川のテラスコート

3人の子供と父で暮らしています。子供が学校行っている時はトライアスロンのトレーニングしたり、投資したり、友人と食事したり読書したり。

「読書感想」【能面検事】中山七里著 書評

周囲との軋轢には無関心で、自分の仕事を貫く大阪地裁の検事。 圧力に屈せず自ら捜査することで、容疑者として警察が送検してきた容疑者の無実を証明するだけでなく、大阪府警の隠ぺいしていた捜査資料の紛失を暴き、大阪府警は処分を受ける人が続出。 警察…

「読書感想」【焦土の刑事】堂場瞬一著 書評

戦中戦後の世間が落ち着かない中、首を切られる殺人事件が連続しておきる。 戦中の2件の殺人に関しては、警察上層部から空襲の被害者として事件の隠ぺいを指示され、納得がいかないまま従わざるを得ない所轄の刑事。 その刑事が戦後捜査1課に移動し、同じよ…

「読書感想」【ウォーターゲーム】吉田 修一著 書評

産業スパイが活躍するシリーズ3作目。 敵味方が立場をくるくる入れ替えながら、大掛かりな水利権に関する陰謀の中で活躍。 情報を武器にするスパイ達の裏切りと協力、政治との関わりなど、構成がしっかりしていて読みやすい。 前作「森は知っている」で、高…

「読書感想」【崩れる脳を抱きしめて】知念 実希人著 書評

神奈川の末期患者中心の療養病院に研修で派遣された若手医師。 そこで出会った担当の患者の女性と心を通わせるようになり、外出恐怖症とも言える外に出れない彼女を助け一緒に外出するようになる。 お互い引かれながらも、女性は自分の人生がいつ終わるかも…

「読書感想」【本性】伊岡瞬著 書評

突然現れた謎の女が相手に取り入ったと思ったら、いきなり脅す女へと豹変する。 別々な相手の前に現れる同じ女が、それぞれ一見関係ない相手を手玉に取っていくクライムサスペンス。 そんな中、15年前の名刺が送られてきた刑事が、ある事件を担当することか…

「読書感想」【ポストカプセル】折原一著 書評

突然届いた手紙が、15年前に投函されたと思われる手紙だった。 その手紙が思わぬ事件を起こす短編集。 叙述トリックに関しては第一人者の作者ならではの展開で、実は連作になっているラストの展開。 ただまあ、テクニック的にはさすがだと思うが、現実的には…

「読書感想」【ロンリネス】桐野夏生著 書評

都内タワマンに暮らす主婦有紗が、見栄を張らざるを得ないママ友との付き合いの中、一人のママ友美雨ママとは仲良くしている。 ただその美雨ママは、同じ保育園のママ友の夫と不倫関係にあり、周囲から距離を置かれている。 有紗自身夫とうまくいっておらず…

「読書感想」【噛みあわない会話と、ある過去について】辻村深月著 書評

何気なくかわしている会話が、誰かを傷づけている事実。 短編集ではあるけど、どれもちょっと心の中を振り返ってみてしまうような、作品集。 読みやすい展開なんだけど、読み進めていくとちょっとなんだか胸の中がざわざわするような感覚にさせるのは、辻村…

「読書感想」【スタンドアップ! 】五十嵐貴久著 書評

夫のDVから逃げてきた主婦が、あるきっかけでボクシングを始めることに。 始めはダイエットと子供の居場所確保が目的だったのに、いつのまにかプロの世界に飛び込むことになる。 単純にエンタメとして楽しく、ちょっとホロリとさせる良作。 もちろん設定は強…

「読書感想」【道具箱はささやく】長岡弘樹著 書評

著者得意分野の事件解決に至るミステリー短編集。 相変わらず、どれもミステリーとしてのキレは抜群。 よく短編でこれだけ、うまく展開すると感心してしまう。 まあ展開的には強引なところはあるものの、それを差し引いても鮮やかな展開。 道具箱はささやく …

「読書感想」【男たちのワイングラス】今野敏著 書評

初期の今野敏作品。 茶道の師範が、実は隠れた武術の達人で、裏社会にも顔がききもめ事を解決していく。 一応ミステリーの連作になるのかな。 今の今野作品と違って、若干ハードボイルドタッチで、やはり昭和の感じが漂う。 やっぱり最近の作品の方が圧倒的…

「読書感想」【連続殺人鬼カエル男ふたたび】中山七里著 書評

前作、「連続殺人鬼カエル男」の続編。 前回50音順に殺人を犯す犯人が捕まっているにも関わらず、関係者でもあった御前崎教授が殺され、カエル男の殺害メッセージが現場に残されていた。 その後もサ行の順番にカエル男のメッセージが遺体現場に残されて、首…

「読書感想」【砂の家】堂場 瞬一著 書評

経営者の父親が母親と妹を刺殺して服役。 幼い兄弟は、バラバラで過ごすことになり、兄は人に恵まれ何とかまともな道を進んでいるが、弟は道を踏み外す。 そんな中、父親が出所し、兄の勤務している会社の社長は脅迫される事態となる。 堂場瞬一の作品によく…

「読書感想」【カットバック】今野敏著 書評

映画ロケのサポートをする警察のFC班。 FC班の仕事中の、警察ものの映画ロケで俳優が殺される事件が発生。 FC班と捜査1課、そして「隠蔽捜査」で活躍する大森署の戸高刑事などが登場し、事件を解決する。 FC班という切り口は新しいのだろうけど、事件そのも…

「読書感想」【零れた明日】堂場 瞬一著 書評

警視庁捜査一課の一ノ瀬が活躍するシリーズ。 大手芸能事務所の女性職員が殺害された事件で、容疑者と思われた男が逃走。 その事件の尻拭いに、 一ノ瀬の係が投入される。 悪くはないけど、ちょっと事件解決にいたる過程が小粒というか、意外性がない。 新し…

「読書感想」【黙過】下村敦史著 書評

パーキンソン病を演じている父親の詐称や、子豚が突然消える謎に迫るなど、独立したミステリーが続き、最後の物語で、実はそれぞれの物語が密接に関わってくる。 前半のミステリーはそれなりに読ませる。 下村敦史らしい、丁寧な取材力で、どの話も違和感な…

「読書感想」【怪を編む】アミの会(仮) (著) 書評

今回は「怪」をテーマにしたショートアンソロジー。 どれもさすが!と思わせる短いながらも上手い作品の数々。 ただ今回は作家も多く、作品それぞれが短すぎて、記憶に一切残らない。 怪を編む: ショートショート・アンソロジー (光文社文庫) 作者: アミの会…

「読書感想」【ペインレス 上下巻】天童荒太著 書評

自分にも他人にも心の痛みを感じない女性麻酔科医。 その彼女に元に、テロで痛覚を失った男性が現れ、実験対象として興味を持つ。 彼女自身は生まれながら心の痛みを持っていないが、後天的に痛みを感じない人間が生まれるのか、自分と周囲の人々はどこが違…

「読書感想」【デートクレンジング】柚木麻子著 書評

結婚し、義理の母親と喫茶店で働く佐知子。 彼女の親友は、女性アイドルグループのマネージャーとして有名だったが、そのグループが解散し、急に結婚を焦ることにある。 そんな彼女との距離感が次第に離れていくことに。 結婚しているかしていないか、子供の…

「読書感想」【わたしの本の空白は】近藤史恵著 書評

意識不明の状態から目覚めた南は、夫として現れた男性の記憶もなく、夢の中で別の男性を愛していた記憶を持つ。 妹のことはかろうじて肉親として親しみを持つが、家に帰っても、姑や義理の姉との同居でも日常は思い出せない。 自室の本棚に、何かが置いてあ…

「読書感想」【じっと手を見る】窪美澄著 書評

富士山がよく見える、休みの日にはモールで時間をつぶす人々が暮らす田舎で、介護士として暮らす日奈と海斗。 二人は同棲をしていたが、日奈は東京から仕事で来た既婚者に惹かれ、地元にしばられる海斗は、日奈を忘れられない中同僚の女性と付き合いだす。 …

「読書感想」【地獄の犬たち】深町秋生著 書評

東京で最大勢力のヤクザ組織に潜入捜査官としてヤクザになりきって潜入している兼高昭吾。 名うての殺し屋として、評価も上がり、トップの会長護衛としての立場に駆け上がる。 潜入捜査のプレシャーの中で、身も心もヤクザになり切ってはいるが… 登場人物達…

「読書感想」【凶犬の眼】柚月裕子著 書評

広島のへき地に駐在所勤務として飛ばされた警官の日岡巡査。 偶然ゴルフ場開発の現場に潜む、指名手配犯のヤクザの国光が潜伏していることを知る。 国光から「やり残したことがある」と言われ、しばらく自分の胸の中に潜伏の事実は仕舞、国光が自発的に手錠…

「読書感想」【傍流の記者】本城雅人著 書評

大手新聞社へ同期入社した社会部記者の面々。 それぞれが、警察、調査など得意分野を持ち、競い合いながら出世していく。 デスクまではほぼ同時期に駆け上がったものも、社会部長になれるのは1人。 時を同じくして、会社にスキャンダルが発生する。 面白い…

「読書感想」【青空と逃げる】辻村深月著 書評

役者の父親が、共演女優と密会中に事故を起こし、マスコミや女優の所属事務所からの逃避のため逃げるように東京を離れる母子。 地方へ逃げながら、その土地で地に足をつけた生活を送ろうとすると、逃げていた相手の影が迫ってくる。 うーん、導入部は期待し…

「読書感想」【星の子】今村夏子著 書評

病弱の子供時代に、親が宗教の力によって改善したと思い込み、怪しげな家庭の子として過ごすことになる「ちひろ」。 ただ親の愛情自体は本物であるため、姉は家出するものの、ちひろは親と宗教に対しては同じく愛情を持って接していく。 そんな彼女も中学時…

「読書感想」【悪徳の輪舞曲】中山七里著 書評

弁護士御子柴シリーズ。 実の母親が再婚した夫殺しで逮捕された事件の弁護人として、相変わらずの意外な結末へと進んでいく。 弁護方法も見事だし、最後の展開も予想外。 現実にはリアル感ない少年時代殺人鬼だった主人公ではあるが、肉親が絡んでくる展開で…

「読書感想」【にらみ】長岡弘樹著 書評

相変わらず他に類を見ないオチを持ってくるミステリー短編集。 確かに、どれも意外な結末を持ってくる。 ただ、著者らしい半面、ちょっとテクニックに走りすぎというか、肝心な物語に無理が出てきているような感じもあり。 特に最初の物語は強引すぎ。 にら…

「読書感想」【百貨の魔法】村山早紀著 書評

地方の老舗百貨店で働く人たちと顧客が、昔ながらの百貨店でちょっとした奇跡を経験する物語。 うーん、なんで評価が高いのか不明。 感動に持っていこうとするのは分かるけど、物語がすべて薄っぺらで読みごたえがまるでない。 登場人物もどれも良い人過ぎて…

「読書感想」【引き抜き屋(2) 鹿子小穂の冒険】雫井脩介著 書評

予想もしていなかったヘッドハンターとして活躍する女性物語の続編。 ちょっと展開は早かった点であっさりしすぎになってしまったが、ラストはうまく収まるところに収まった。 読みやすいんだけど、もっと人間の葛藤とか、ドロドロしたところを描いたほうが…