年末年始に読む本を探している人にお勧めする本《心情描写傑作編》 - 今年読んだ本でオススメ小説
2015年に読んだベスト本(小説)からの《エンタメ入門》《警察・犯罪モノ》編に続き、今回は《心情描写が上手い》本を紹介したいと思います。
せっかくストーリーが素晴らしくても、感情移入できなかったり、人物像がしっくりこないことで結果的に面白さが伝わらない本も多いですが、下記は違和感なく登場人物を描いている本です。
ドロドロした女性モノが好きな人におすすめ。
商社勤務のキャリアウーマンの心休まるとき時がある主婦ブログを読むこと。
ある日 そのブロガーが近所に住んでいると気が付き、親しくなっていく。
世間を騒がす思い込み激しい女性って実際いるよな…という内容。
シェアハウスにもと元犯罪者だけが住んでいる。
そこにいる人たちは一見犯罪を犯した人には見えず、人生をやり直したいと思っているが、そこに起こる事件。
それぞれのキャラクターがしっかりしていて、物語の脇役も充実。
- 霧ウラル 桜木紫乃
昭和30年代の根室が舞台。
ヤクザの組長と結婚した3姉妹の次女を中心に、姉妹を始めとする女性の心の動きの描写がさすが。
女性の悲しさと、田舎の土地に縛られる女性を描くのは桜木紫乃の得意フィールドで圧倒的。
- それを愛とは呼ばず 桜木紫乃
もう1冊桜木紫乃作品。
社長である妻が交通事故に会い意識が戻らない中、旦那は会社もその土地も追われる。
そして男が東京のキャバレーで出会う女。
お互いに惹かれながらも、うまくいかない。
一生懸命生きている人間が必ずしも恵まれるわけでもなく、人の中にある寂寥感ややりきれなさの描写が抜群。
- 冬の光 篠田節子
家族を裏切り続けた父親が自殺。
次女が父親の最後の旅(お遍路)を通して、父の軌跡をたどる。
父親自身の行動も描かれ、背景が明らかになっていく。
大きな展開があるわけではないが、日常起こりうる出来事の中での家族の心理描写が伝わる。
理屈では割り切れない人間の業は深い。
- 闇に香る嘘 下村敦史
盲目の主人公が中国残留孤児として帰国した時にはすでに失明し見ることできない兄が、偽の兄として自分をだましていたのではないかと疑う。
目が見えない事での不安感など、読者自身にも投射され、最後まで展開が分からない。
ラストの伏線回収も見事で読み応えあり。
(今年初読みの作家だけど、今のところ他の2作も面白いです。今後も注目)
以上です。
次は《読み応えある展開》《人間の成長を描く》分野を紹介しようと思います。