年末年始に読む本を探している人にお勧めする本《読み応えある本》《人間の成長を描く本》 - 今年読んだ本でオススメ小説
今年読んだ小説で面白かった本を紹介するシリーズ今回は
《読み応えある本》
《人間の成長を描く本》
の2カテゴリーです。
まずは《読み応えある本》から。
Aではない君と 薬丸岳
少年犯罪を犯した子供の付添人となる父親。
父親としての後悔と葛藤、少年を始めとする登場人物たちの心理状態。
先を読むのが苦しい心情移入をしてしまうほどの描写でありながら、それでも読み進めざるをえない筆力。
少年犯罪を描いたら第一級の作家です。
インドクリスタル 篠田節子
マザークリスタルの採掘を機会に、インドの深い闇を通して現代の資本主義、貧富の差、男尊女卑など社会に横たわる様々な問題を投げかけながら物語は進む。
篠田節子らしい綿密な下調べに基づいた展開で、今もどこかで起こっているドキュメントであってもおかしくない物語。
社会派エンタメとして読み応えあります。
虚栄 久坂部羊
がん治療を国家プロジェクトとして大々的に取り組む過程で起こる、各医療分野の確執を中心に描く医療サスペンス。
最新の医療と医学会、医学に関する報道などを小説を舞台としながら伝えている。
またいくつか現実の人物、話題をモチーフにして描かれている場面もあり、現実社会との関わりに真実性が加わる。
医学に関しては何が正しくて何が正しくないのか…
宇喜多の捨て嫁 木下昌輝
舞台は戦国時代。
大名宇喜多直家の姿を捉えるために、視点を変えながら娘、妻、本人らの動きで追っていく。
世間一般的には人間的には悪い印象の直家を描きつつ、その背景も丁寧に描くことでまた別な面での良くも悪くも魅力を感じさせる人物としている。
直家がどのような背景でこのような人物になったのか、彼の悲しい孤独の裏側に迫ります。
次は《人間の成長を描く本》を2冊紹介。
クローバーレイン 大崎梢
大手出版社で働く編集部員が主人公。
最近ヒット作がない作家の未発表作品を手に取ることから物語が始まる。
出版者内部の営業や編集の面々、作家や書店との人間関係の中で主人公が成長していく。
特別大げさな何かが起こるわけではないけど、ジンワリ心にしみる作品です。
スーツケースの半分は 近藤史恵
一つのスーツケースが色々な女性の元で、その彼女らの人生を彩る連作集。
日常から少しだけ逸脱した旅の中で、人々が新たな一歩を踏み出していきます。
あっさり読めるので読みやすいです。
今回は以上です。
次回は《スパイ・テロ関連》《スポーツもの》を紹介しようと思います。