【読書感想】魂をなくした男ーブライアン フリーマントル著 先が読み切れない知的な騙しあいの応酬
「片腕をなくした男」→「顔をなくした男」から続く英国諜報部員チャーリーマフィンシリーズ3部作。
それぞれ上下巻でかなり読み応えあります。
スパイと言うと007のようなイメージもを思いうかべることも多いかもしれないが、このシリーズのチャーリーマフィンは正反対。
くたびれた服装に、不格好な靴、冴えない風貌。
でも話の中で相手をだます仕掛けを施したり、尾行をまいたりするテクニックは一流。
その外見から身内にも使いされにされ馬鹿にされることも多い主人公だが、結局はどんな状況からでも生き残るのをモットーとして策略を巡らせた相手を破滅へと追い込む。
アクションものとは違いスカッとするスパイものとは正反対だけど、高度な知的ゲームに読者自ら参加させられている面白さ。
正直登場人物は多いし、難解な描写があってじっくり読まないと理解できない部分もあり読むのに時間がかかる。
なので読み手を選ぶのは間違いない。
でも物語全体にちりばめられた伏線、先が予想できない次ぎ次ぎ予想を上回る展開。
これは良い応えがあります。
チャーリーマフィンシリーズは何十年も続いている好きなシリーズ。
正直途中はダレて失望した作品もあるけど、全体的には好きな展開。
今回は初期に戻ったような先が読めない、それでいて次々に理解したと思ったら別な展開が広がる先を読むのが止まらない楽しめる作品です。
時間がかかるかもしれないけど、是非このシリーズの最初から読むのをお勧め。
(実際私も以前の作品はあまりに前の発刊ですっかり内容忘れていたので、最初から読みなおしました)
まずは「片腕をなくした男」
チャーリーがロシアの英国大使館で見つかった死体調査のために派遣されます。
そこでロシアの捜査機関とお互い策略を駆使しあい、ロシアの恐るべき策略で進んでいた新事実に近づいていく。
次は「顔をなくした男」
前作でチャーリーにこれまでにない作戦をつぶされたロシアから亡命者が。
そしてチャーリー自身に起こる予期せぬ出来事。
難解な部分はあるけど、じっくり知的ゲームのようなスパイものをお求めな人は是非とも読んでみてください。