「読書感想」【ハーメルンの誘拐魔】 中山 七里著
子宮頸がんワクチンの副作用をテーマに、著者ならではの展開で広げるミステリー。
犬養刑事シリーズの1作だが、今回は特に警察サイドのキャラ(特に犬養の能力)で展開するよりも、事件及びその社会性メッセージで物語は展開する。
副作用にかかった患者や、推進派の医師の娘などが誘拐され忽然と消え、70億円の身代金が要求される。
中山七里らしく、事件の解決に向けてラストは二転三転し最後まで読ませる。
厚労省、医薬品メーカーなどの思惑が実際子宮頸がんワクチンに関しては身動きできないほど絡まっていると思わせる記述で、著者のメッセージ性も強い。
このメッセージ力が強いのは本作品の特徴になっているのは事実だけど、ちょっとこだわり過ぎてミステリーとしての魅力にマイナス面があった点も否めないが全体的にはまずまずの出来。