「読書感想」【ガラパゴス】 上下巻 相場 英雄著
身元不明の自殺者として処理されていた男が他殺と見抜き、ほとんど手がかりない中犯人に迫っていく。
被害者の生前の様子を調べる過程で、日本の製造業が抱える問題、派遣業界の闇をあぶりだしていく。
フィクションでありながら、実際のリアリティを感じさせる日本の労働環境の一端を描き、息苦しさを覚える内容でもある。
丁寧な取材力を感じるし、自動車業界にその後発生したトラブルを考えると、今後の日本の製造業に対し暗澹たる気持ちになるような描写。
刑事の真相に近づく過程は多少偶然に依存しすぎるところはあるものの、物語としてはストーリー展開上手く上下巻でも飽きずに読ませる。
社会的な問題を題材によく描けている警察小説で面白かった。