「読書感想」【流】 東山 彰良著
台湾で一家で生活をしていたまだ若い主人公の祖父が仕事場の風呂場で殺される。
その後祖父を殺した犯人を捜すが月日だけ過ぎ、また自身は学生生活でつまずき、その後の人生もパッとしない中、ある出来事で身内に疑問が湧いてくる。
当時の台湾と中国の様子がリアルに目に浮かび、また国民党と共産党の教科書的ではない市井の人々の関わり方の描き方が等身大で素晴らしい。
また同じ台湾に住む人々でも、外省人の故郷への思いや国に対する疑いの目はまさに台湾の人々からの視点として著者ならではの描き方である。
一族の血を感じながら、また祖父が戦時中に殺した相手にも一族の血が流れているという現実。
スピード感を持たせながら、戦時中からの台湾とその人々を熱量持って描き切る面白い作品だった。