「読書感想」【向田理髪店】 奥田 英朗著
奥田英朗らしい人間味のあるジンワリ来る良い話。
北海道の昔は炭鉱町として栄えた町で営む理髪店には、近所の色々な人が来るが日常は代わり映えしない。
そんな中息子が札幌の企業を退職し帰郷したり、映画の撮影が決まったりちょっとした日常の変化がイベントとなる田舎町で、関係する人間模様を等身大で描いている。
決して派手な物語ではなく、また熱いヒューマンドラマがあるわけではないが、今も日本のどこかの片隅の世界を悲観的でなく、それなりに暮らしている世界を描いているリアル感を感じさせる。