「読書感想」【大岩壁】 笹本 稜平著
さすが山岳小説の第一人者の描写力。
ヒマラヤの人食い山と知られるナンガバルバット。
冬季初登頂を目指す主人公だが、以前同じパーティーで亡くなったパートナーの弟が参加し不安要素となる。
岩場や氷の登山シーンの描写はリアル。
個人的にはとても面白く読み進んだが、多分一般的にはマニアックすぎてあまり評価を受けない感じはする。
ストーリー自体は想像を超えるものではなく、笹本稜平の本格的な山岳小説ではありがちな内容であるが、この小説は山岳小説として一緒に登攀しているかのような気持ちを楽しむものである。
後半があっさりしすぎで今一つ読了後の満足感は薄まってしまったのは残念だが、笹本稜平にはもっとこの手の作品を描いてほしい。