「読書感想」【氷の轍】 桜木 紫乃著 書評
著者のいつもの設定舞台、北海道東部を中心とした人間模様を描く。
生涯独身だった札幌のタクシー運転手が釧路で殺される。
殺された理由を探るうちに、わずかな釧路で暮らす人物との接点が見えてきて、過去のつらい出来事が明らかになってくる。
いつものように文章は上手く、文体も素晴らしい。
ただ今回はミステリーとしては、偶然の出来事が多すぎ、何より肝心な殺人へと続く動機が弱すぎる。
桜木紫乃らしい物語であり人生の岐路を描く筆力は惹きつけるのは間違いないが、物語としてはもう一つ。