「読書感想」【BUTTER】柚木 麻子著 書評
年配男性と次々付き合い、金を奪って殺した罪で服役中の女「梶井」。
梶井の独占取材を目指し、週刊誌の女性記者が接触していく。
太って醜い梶井の関心を得るために、節制していた記者は梶井の人生をなぞるようにバターたっぷりの料理の数々を食し、それを共有することによって梶井の内面に迫っていく。
これは面白い!
木嶋佳苗事件をモデルに、丁寧な料理描写の数々だけにとどまらず、女性記者と親友の関係から浮かび上がらせるジェンダー論、女性自身や周囲の人物の家族の問題も絡めて過去のトラウマからの脱出への道筋のつけ方など、複数の視点で構成されている。
下調べ綿密な料理描写の数々は、ちょっと食傷気味でしつこいが、まあこの物語の根幹をなすものなので必要か。
柚木麻子の作品は好きだけど、この作品はちょっと今までの殻をやぶった感じ。