「読書感想」【あのこは貴族】山内 マリコ著 書評
渋谷区松濤生まれで決まったレールの上を進んできたお嬢さん華子。
周囲の友人が次々結婚する中、いつも付き合う彼氏には重い気持ちを負担に感じられるのか、長続きしないことに焦り、婚活を始める。
しかし、世の中には自分の育った環境とは全然違う人達がいることに気が付き、同じ上流社会で育った人のフィルターと通した人でないと付き合えない事を自覚し、そんな中弁護士「幸一郎」を紹介される。
一方、地方から東京に慶応大学進学で出てきた美紀はキラキラした東京に戸惑う一方、家族の問題で金銭的に困り、次第に夜の世界にずっぽり嵌っていく。
ある日その夜の仕事中に、慶応で同級生だった「幸一郎」と出会う。
育った環境が違うアラサー女性の葛藤とそこからの飛躍をそれぞれの立場で描いていく。
山内マリコは本当にこの手の女性を描く内容は読ませる。
ラストの展開も良い。
状況は違うけど、個人的にアメリカ人の富裕層と知り合った時に似たような富裕層しか味わえない世界があるのを体験を感じたのを思い出した。
一緒にカジノに行っても、空港から迎えのリムジンは来るわ、ホテルの食事は無料だし(有料の場所もある)、何よりチップをかけるテーブルが普段の場所と違う部屋で行われるVIPルームだったり(当然最低ルートが庶民ではかけれるレートではない)。
あの時は、世の中には限られた人しか入れないサークルがあるのをはっきりと感じたな。