「読書感想」【みかづき】森絵都著 書評
学校の用務員が、自発的に放課後勉強を教えることから物語は始まる。
生徒の母親から一緒に塾を運営して欲しいという申し出から、親子3代にわたる塾を中心とした、壮大な教育を舞台にした人間模様が描かれる。
これはすごく良い!
前半は国民学校時代の教育への反発から塾運営へと進んでいく内容で、多少まどろっこしいが、落ちこぼれを救うという理想の塾運営では世の中にそぐわなくなっていくあたりからが面白い。
理想の教育を求めながら、教育に満足は決してないという現実と同時に、今の世の中での教育格差など問題点を物語にちりばめ、うまく昇華させていく。
後半はじんわりと心に響く。