定年を迎えた商社マンの男が、帰りの電車で意識不明となりICUに入院となる。
その男は、親を知らず孤児院で育ち、不幸な身の上でありながら、苦労を大手に見せない人生を送っていた。
その意識不明な状態の中で、家族を始め、孤児院の仲間や、会社時代の同期など、関わりのあった人物が見舞いに来て、過去を振り返っていく。
浅田次郎らしいヒューマンドラマ。
現在と過去を行き来しながら、心の奥深くに隠しておいた思いが零れ落ちていく。
ただ、全体的にちょっとぼんやりしていて、期待していた感動はない。
悪くはないがどちらかと言えば、映像化の方がうまく伝わる内容に終わった感がある。