「読書感想」【ペインレス 上下巻】天童荒太著 書評
自分にも他人にも心の痛みを感じない女性麻酔科医。
その彼女に元に、テロで痛覚を失った男性が現れ、実験対象として興味を持つ。
彼女自身は生まれながら心の痛みを持っていないが、後天的に痛みを感じない人間が生まれるのか、自分と周囲の人々はどこが違うのかを追い求める。
痛みをテーマに天童荒太らしい、切り口であり、痛みに関する下調べがしっかりしており、苦痛を取り除く展開に違和感はない。
ただ前半の頻繁に出てくるセックス描写とか特に必要ないし、後半の展開はそれなりなのに、無駄な人物達の痛みの広がりは余計。
登場人物達への感情移入もしがたく、それなりの大作ではあるが一般受けは難しいかな。