【読書感想】世界の果てのこどもたち - 中脇初枝著 子供の人生を通して伝える戦争の悲惨さ
満州で出会った3人の少女の戦時、戦後後を中心に描きながら、戦争の一面のやるせなさを伝える良書。
在日としての暮らし、中国残留孤児、施設で暮らす少女達の簡単には言葉に出来ない苦労を描きながら、戦争の不条理がこれでもかと迫って来る。
正直読み進めていくうちには、気持ちが落ち込むというかブルーになる。
ただ無視してはいけない、避けて通れない戦争の現実。
苦しい立場でも乗り越えていく少女達の逞しさ、周囲の人々の手助けとそれと相反する無関心、戦時中とはいえ人間の本質が現れる非日常行動など、どれも人間の本質を描いている。
これもリアルすぎて胸が痛くなる部分もあるが、著者の筆力の強さである。
人類には繰り返してはいけない悲劇というものがある。