川のテラスコート

3人の子供と父で暮らしています。子供が学校行っている時はトライアスロンのトレーニングしたり、投資したり、友人と食事したり読書したり。

2017-01-01から1年間の記事一覧

「読書感想」【戦の国】冲方丁著 書評

戦国時代の武将をそれおれの立場・視点で描く歴史小説。 織田信長、上杉謙信、明智光秀、大谷吉継、小早川秀秋、豊臣秀頼の6人を緩やかな連作で繋げている。 著者らしい切り口で、今までとは違う印象を受ける場面も多少はあるものの、全体的には著者のエンタ…

「読書感想」【政治的に正しい警察小説】葉真中顕著 書評

社会派ミスエリーの印象が強い著者の、ブラック気味の短編集。 児童虐待や冤罪など異なるテーマでどれも読ませる。 長編での作品しか読んだことなかったが、短編でも著者らなではの切れ味鋭い文章は活きている。 短編集でありながら、読み応えある一冊。 政…

「読書感想」【真夜中のパン屋さん 午前5時の朝告鳥】大沼紀子著 書評

シリーズラストという事で、今までの登場人物ソフィア、こだま、弘基、希実、暮林のその後を描く。 今までの物語というよりは、完全にエピローグ的な扱いでまあ潮時なのかなという終わり方。 これは完結編ではなくて、サイドストーリー的なのでもっと中心3人…

「読書感想」【オペレーションZ 】真山仁著 書評

破たん目前の日本の財政を救うため、国家予算の支出を半減させる国家予算を目指す総理と財務省のチーム。 決して絵空事ではなく、現実の日本の危機としていつでも起こりうるリアル感を醸し出している。 ストーリーとして面白い上に考えさせられるエンタメ。 …

「読書感想」【ミステリークロック】貴志祐介著 書評

防犯探偵(コンサルト)が事件を解決するミステリー4編。 どれも著者らしいオリジナル性高い謎解きなんだけど、トリック自体が専門的過ぎて難解。 難しくて途中で飽きる人もいると思う。 こんなトリック思いつくのは凄いけど、これがありなら、もう密室殺人…

「読書感想」【彼方の友へ】伊吹 有喜著 書評

戦中の若い女性向け雑誌の編集見習いとして、勤めることになる佐倉波津子。 あこがれの雑誌であった「乙女の友」の編集者として、また執筆者として、主筆をはじめとする周囲の人の力を得ながら成長していく。 戦中、戦後を通して、雑誌作りという場面を通し…

「読書感想」【月夜の散歩】角田光代著 書評

いつものように笑える内容が多いわけではないが、どれも著者らしいエッセイ。 小説も好きだけど、角田さんの描くエッセイが好き。 特に、マラソンや旅行の話が好きなんだけど、今回はこの分野は薄いのが残念。 月夜の散歩 (ORANGE PAGE BOOKS) 作者: 角田光…

「読書感想」【覆面作家】大沢在昌著 書評

それなりに売れている男性作家の周辺事物に起こるちょっと不思議な話の真実に迫るミステリー短編集。 最近の大沢作品は、ダラダラして、ハードボイルドも古臭いけど、この位の短編集だと余計な描写がないから、すっきり纏まっている。 かえって短編中心に描…

「読書感想」【クリスマスを探偵と】伊坂幸太郎著 書評

伊坂幸太郎は無条件で手に入れることにしているので、絵本だけど読んでみた。 うーん、話自体は悪くないけど、あえて絵本にする必要がない。 絵もイマイチだし、子供に読ませるには、ストーリー的にサンタの正体が明かされていて無理だし。 この題材で普通の…

「読書感想」【神秘大通り 上巻 】ジョン アーヴィング著 書評

メキシコのゴミ捨て場で育った主人公は予知能力のある妹とゴミ地域のボスに一緒に暮らしている。 独学でゴミの山から本を見つけ学んでる主人公に、ある修道士が本を与え、そののち修道院の孤児院で暮らすことになる。 彼は大人になって成功することになるが……

「読書感想」【宝くじで1億円当たった人の末路】鈴木信行著 書評

宝くじだけでなく、孤独の人や、教育費をかけない人や、自分探しに逃げた人などの将来例。 まあそういう人もいるよね…という内容で、あえて読むほどの内容はなし。 もっとドキュメンタリー調とか、事例をもとに、何か次のステップに進む内容が描かれているの…

「読書感想」【ワルツを踊ろう】中山七里著 書評

外資系企業をリストラされた男が父親が残した故郷の限界集落に移り住む。 昔育った地域とはいえ、今や7世帯の老人だけの村人がいる携帯も県外の村。 好奇心丸出しの住人達へ溶け込もうとするが、やることなす事うまく行かず、村人からは疎外され、段々と閉鎖…

「読書感想」【トップリーグ】相場英雄著 書評

社会部の新聞記者松岡が政治部に移動になり、総理番から実力者の官房長官番になる。 そして官房長から情報をもらい、スクープの出していく。 一方松岡の同期あった酒井は現在週刊誌記者として名をはせ、ロッキード事件もモチーフにした昭和の一大疑惑へつな…

「読書感想」【スープ屋しずくの謎解き朝ごはん】友井羊著 書評

ビジネス街にある人気のスープ屋。 モーニングは宣伝もせずひっそりと開店しており、そこを訪れる客の悩みを店主が絡んで解決していく連絡ミステリー。 最初の話はまずまず。 ただその後の話は、平凡。 スープ屋である必然性も少なく、またミステリー自体が…

「読書感想」【教場0 刑事指導官・風間公親】長岡弘樹著 書評

刑事になって3か月の新人刑事が、OJTで風間刑事の元に送られ、時間の解決を迫られる短編集。 設定に多少の無理があるのはいつもの事ではあるが、どの事件も解決へのミステリー仕立てはアイデアとして悪くない。 どれも心理的な点をトリックにしている点で著…

「読書感想」【ナックルな三人】ねじめ 正一著 書評

絵本作家の主人公は、編集者の紹介で挿絵を書く短期間だけ一緒だった元同級生と出会う。 始めは失礼な態度にとまどう主人公だが、画家が自分の小学校の時のナックルボールに憧れていたと聞き、いつの間にか一緒にナックルボールを投げ合う仲に。 そんな中、…

「読書感想」【森へ行きましょう】川上弘美著 書評

パラレルワールドで、どこかに自分と違う人生を送っている別の自分がいる世界を描く。 生まれたときから、現代までを、それぞれの時間軸で悩みながら進んでいく女性の姿が、年を追うごとに大きく変わっていく。 進学、恋愛、結婚、仕事など人生での無数の選…

「読書感想」【波濤の城】五十嵐貴久著 書評

女性消防士が活躍シリーズで今回は大型客船での火災が舞台のパニック小説。 沈没前に何とか逃げようとする緊迫感はそれなりにあるが、どうも2番煎じで入り込めず。 実際に船がトラブルになるまでの人間模様の描き方も平凡すぎて、登場人物が良くも悪くも魅力…

「読書感想」【身代わりの空(上・下巻) 警視庁犯罪被害者支援課4】堂場瞬一著 書評

富山空港での飛行機事故に関連して、警視庁の犯罪被害者支援課が動き出す。 死亡被害者の一人が、指名手配犯と判明し、また意識不明で重体の男の身元も不明。 裏に仕組まれた、大きな犯罪に少しづつ捜査の過程で近づいていく。 直接捜査を行う部署ではない、…

「読書感想」【スリーパー 浸透工作員 警視庁公安部外事二課 ソトニ】竹内明著 書評

外事二課 ソトニシリーズの諜報ミステリー。 今回が一番面白く読み応えあり。 また現実かフィクションなのか今日本で起きている事と、北朝鮮の現実がリアルに描かれている。 日本国内に根を張って生活しているスリーパー工作員。 それを追う公安や、主人公達…

「読書感想」【砂上】桜木紫乃著 書評

北海道に住む離婚経験者の独身女性。 いつか作家になる夢を抱きながら、現実はビストロ勤務と離婚した夫からの慰謝料でギリギリの生活を送る毎日。 そんな彼女の目の前に女性編集者が現れ、彼女の人生そのものを物語として描いていくことになる。 彼女の人生…

「読書感想」【盤上の向日葵】柚月裕子著 書評初代菊水月作の名駒

タイトル戦に挑む異色の棋士に、殺人事件の関与が疑われ捜査をしていることから物語は始まる。 遺体と一緒に土の中から見つかった初代菊水月作の高価な将棋の駒の持ち主を探す過程で、過去に遡って幸せとは言えない人生を過ごした棋士の人生を追いかけていく…

「読書感想」【宮辻薬東宮】宮部みゆき, 辻村深月, 薬丸岳, 東山彰良, 宮内悠介著 書評

人気作家による、ミステリーのアンソロジー。 いつものテイストとは異なる作品を描いている作家もいたけど、すべて楽しめた。 ホラーチックな作品がベースで、特に薬丸岳の作品が好み。 著者ごとの特徴が現れているアンソロジー。 宮辻薬東宮 作者: 宮部みゆ…

「読書感想」【マルトク 特別協力者 警視庁公安部外事二課 ソトニ】竹内 明著 書評

元公安部外事二課で、現在はNYに外務省職員として出向している主人公の続編公安スパイもの。 日本に亡命を期待した北朝鮮の大物がアメリカで殺害され、一方日本では北朝鮮へ亡命した元公安職員が船で漂流して日本に帰ってきて、政府の中核へと入っていく。 …

「読書感想」【背乗り ハイノリ ソトニ 警視庁公安部外事二課】竹内 明著 書評

公安部外事2課で活躍した捜査官が、大きな任務失敗によりNY日本国総領事館の警備対策官として干されていた。 NYを訪れた次期総理との呼び声も高い外務大臣が、ホテルの部屋で毒薬で殺されかける。 その事件の解決のため、日本に一時的に戻り昔の部下の協力も…

「読書感想」【風神雷神 雷の章】柳広司著 書評

前作に引き続き、宗達が「俵屋」の主人となってからを描く。 公卿の烏丸光広との出会いによって、公家との関わりも深めていく中、養源院に唐獅子図・白象図、相国寺に蔦の細道図屏風を描いていく。 ラストは国宝の風神雷神図屏風。 新しい事に取り組む意気込…

「読書感想」【院長選挙】久坂部羊著 書評

国立病院の院長が亡くなり、4人の副院長が次の院長候補に。 医療崩壊を題材に病院を取材始めたルポライターが、癖が強い4人それぞれの副院長に圧倒されながら、病院の各部の人間模様を描いていく。 著者らしい、医療を舞台にしたコメディ。 病院の内側を描く…

「読書感想」【AX アックス】伊坂幸太郎著 書評

サラリーマンで極度の恐妻家が「殺し屋」として活躍する著者の「殺し屋」シリーズの一つ。 殺し屋としての活躍と、家庭でのギャップがうまく融合して、キャラクターの魅力を高めている。 連作短編として、時間軸を飛ばした最終話まで楽しめる。 やっぱり伊坂…

「読書感想」【風神雷神 風の章】柳 広司著 書評

国宝の風神雷神図屏風を描いた、宗達の物語。 本作では「俵屋」の後を継ぐまでを描く。 幼馴染の角倉与一、紙屋宗二との関係から、大きく飛躍するまでの人生が舞台。 柳広司が題材とするのはちょっと意外だったけど、主人公の魅力は伝わって来る。 ただ、歴…

「読書感想」【もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら】神田 桂一著 書評

話題になっていたので、読んでみた。 内容はタイトルの通り。 企画としては面白いかも。 さらっと読める。 もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら 作者: 神田桂一,菊池良 出版社/メーカー: 宝島社 発売日: 2017/06/07 メディア: 単行本 この商品…