【当確師】 真山 仁著 - 選挙コンサルを描くも業界内部描写には迫れず
真山仁の描くキャラは骨太で濁った水も平気で飲むような人物像が多く、またそれが物語の真実性と合わさって読み応えある内容になるわけだけども、本作もその流れを組む主人公ではある。
そして舞台は選挙に挑む候補者と迎え撃つ現職市長という構図で、選挙コンサルが主人公。
切り口は魅力的だし、出だしの登場人物達は何かありそうで期待は持てるものの、正直内容が表面的で薄い。
展開も早く読みやすいが、ドラマをみているかのような存在感の薄さ。
かえって映像の方が魅力的に見せることができるのかもと思わせる。
真山仁の作品としてとらえると、及第点にははるかに及ばない。
もっとこの業界の裏を深く切り込んで描いていけば、もっと読み応えある話になったと思われるが、後半のあっさりさはかなり欲求不満。
まあこれも真山仁氏への期待の裏返しということで、次作を期待しています。