「読書感想」【失踪者】 下村 敦史著 書評
10年前ペルーで登山中にクレバスに落ちたと思われる友人を置き去りにして帰還して以来、やっと遺体回収で訪れた時に見た友人は滑落後も数年生きていた兆候があった。
その謎を追う中で、山岳シーンを読ませる。
良く下調べしていて山岳シーンの描写もそれなりなだけに、いくつかのあり得ない登山者の行動の違和感がめだってしまい残念。
中途半端。
ミステリー自体も途中で展開が分かってしまい、後半に向けての盛り上がりにかけてしまっている。
下村敦史氏はデビュー以来注目している作家なのだけど、残念ながら山岳小説は力不足。
実際山に登らない人や、他の山岳小説をあまり読まない人ならばそれなりに満足はするのだろうと思うが、細部の描写が雑なのが致命的。
まあでも今後も注目している作家の一人ではある。