「読書感想」【路上のX】桐野夏生著 書評
さすが桐野作品という真骨頂の女性を描いた作品!
親に捨てられ行き場をなくし渋谷をうろつく女子高校生が主役の物語。
不条理を嘆きながらもお金のために自分を切り売りする彼女たちに襲い掛かる、一枚上手の欲望にまみれた大人たち。
大人も女子高校生も登場人物が、悪意の持ち方や決してハッピーエンドに終わらない姿に妙にリアル感を醸し出す。
桐野氏の作品はたまにどうしようもないものもあるけど、この手の女性を主役に描く作品はリアル感だけでなく、人間の内面をえぐっていく描写が他に類を見ない素晴らしさ。
読んでいる途中の息苦しさを開放するわけでななく、それでもただただ絶望というわけではない、逞しさも感じさせる作品。