川のテラスコート

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「読書感想」【彼女は頭が悪いから】姫野 カオルコ著 書評

広尾で恵まれた環境で育ち東大生になるつばさ。

横浜郊外で、ごく一般的な家庭で育ち女子大に進学する美咲。

 

そんな2人が出会い、美咲は初めての彼氏に心躍る日々を過ごすようになるが、つばさは東大ブランドで、東大以外の人に対しては常に見下す状態で疑問も持たずに過ごす日々であった。

そして飲み会を盛り上げる要因として、美咲に対する性的暴行を起こすが、本人は犯罪の認識は持たず、世間も東大生が悪い女に引っかかったという論調も強く渦巻く。

 

2人を含む周辺人物を中学時代から丁寧に描く背景から、だんだん美咲にどんな不幸が起こるのか…という、やるさない気持ちにさせながらも、読み進めざるを得ない。

 

東大生に対する偏見ともとられかねないが、あくまで東大というのは象徴のひとつとしてうまく機能し、心の中にある偏見を描き出している。

 

決して読んで気分がよくなる話ではないが、物語に捉われていく。

加害者の他者への想像力欠如の描写がすばらしくうまい。

 

読み進めるのが苦しい人もいると思うけど、小説としてはよくできている。

惜しむべきはラストの展開があっさりしすぎか。

 

彼女は頭が悪いから

彼女は頭が悪いから