薬物や暴力から逃れてきた女性シェルターが火事になり、みんなから慕われてきた創始者の先生と呼ばれる女性が焼死。
スタッフや一緒に暮らしてきた女性たちが悲しみに暮れる中、警察から遺体が死亡した女性はみんなから呼ばれていた名前とは違う人物だったと連絡を受ける。
亡くなった女性の寄り添う慈悲にあふれた姿勢は間違いなく本物だったのに、その女性は何者だったのか。
相変わらずの篠田節子圧倒的筆力。
もう宗教的な要素を絡めた人間のリアリティある内面を描かせたら、この人にかなわない。
読み応えあり面白い。
惜しむべきはラストの全体の種明かし的な展開が明かされる方法が、ちょっと一般的過ぎて終末の衝撃が薄い。