「読書感想」【青空と逃げる】辻村深月著 書評
役者の父親が、共演女優と密会中に事故を起こし、マスコミや女優の所属事務所からの逃避のため逃げるように東京を離れる母子。
地方へ逃げながら、その土地で地に足をつけた生活を送ろうとすると、逃げていた相手の影が迫ってくる。
うーん、導入部は期待していたけど、どうもいつもの辻村深月らしさが全くない。
ミステリーさや、人間心理に入り込む場面がなく、展開も急ぎすぎて、展開が無理すぎる。
特にラストは急ぎすぎて、肩透かし。
そもそもになるけど、逃げる前にできることたくさんあるよね。
「読書感想」【星の子】今村夏子著 書評
病弱の子供時代に、親が宗教の力によって改善したと思い込み、怪しげな家庭の子として過ごすことになる「ちひろ」。
ただ親の愛情自体は本物であるため、姉は家出するものの、ちひろは親と宗教に対しては同じく愛情を持って接していく。
そんな彼女も中学時代に、ある出来事で親の異様な行動が人に不審者として見られていることに気が付き、親の愛との間で違和感が芽生える。
うーん、なんだろう、この終わり方の中途半端な感じ。
一応予感をかんじさせたつもりなんだろうけど、ハッピーエンドでもバットエンドでもなく、とにかく充実感が薄い。
読みやすいけど、それだけ。
「読書感想」【悪徳の輪舞曲】中山七里著 書評
弁護士御子柴シリーズ。
実の母親が再婚した夫殺しで逮捕された事件の弁護人として、相変わらずの意外な結末へと進んでいく。
弁護方法も見事だし、最後の展開も予想外。
現実にはリアル感ない少年時代殺人鬼だった主人公ではあるが、肉親が絡んでくる展開で、前作に続き少しづつ人間としての感情が見うけられるようになってくるのも、また興味を沸かせる。
今後も楽しみなシリーズ。
中山七里は最近明らかに手を抜いている作品あるけど、このシリーズは相変わらずの充実感で一安心。