川のテラスコート

3人の子供と父で暮らしています。子供が学校行っている時はトライアスロンのトレーニングしたり、投資したり、友人と食事したり読書したり。

「読書感想」【鏡の背面】篠田節子 著 書評

薬物や暴力から逃れてきた女性シェルターが火事になり、みんなから慕われてきた創始者の先生と呼ばれる女性が焼死。

スタッフや一緒に暮らしてきた女性たちが悲しみに暮れる中、警察から遺体が死亡した女性はみんなから呼ばれていた名前とは違う人物だったと連絡を受ける。

亡くなった女性の寄り添う慈悲にあふれた姿勢は間違いなく本物だったのに、その女性は何者だったのか。

 

相変わらずの篠田節子圧倒的筆力。

もう宗教的な要素を絡めた人間のリアリティある内面を描かせたら、この人にかなわない。

読み応えあり面白い。

 

惜しむべきはラストの全体の種明かし的な展開が明かされる方法が、ちょっと一般的過ぎて終末の衝撃が薄い。

 

鏡の背面

鏡の背面

 

 

「読書感想」【島のエアライン 下】黒木亮著 書評

上巻で何とかエアラインを立ち上げた後の、赤字に奮闘する様子を中心に展開。

 

関係者の努力や地域の人達に必要とされるエアライン(僻地なのに福岡から医療関係者が来てくれるなど)としての位置づけは伝わる。 

ただ毎年かなりの赤字であり、いくら公共性があっても、将来的に厳しいだろうなと思ってしまう。

 

正直感動物語ではない。

事実を記したルポみたい。

ちょっと黒木作品としては異色である。

 

島のエアライン 下

島のエアライン 下

 

 

「読書感想」【島のエアライン  上】黒木亮著 書評

熊本県天草をベースとするエアライン設立から運行を追いかける、関係者を実名表記で展開する物語。

 

政治家の後押しや、実際県職員から派遣され奮闘する様子など、当然ながらリアル感あるドキュメント風の展開。

 

赤字に対する補助金など負の部分も丁寧に描き、単なる感動話ではない点は黒木亮らしいのだけど、実際の人物を描いているだけに、話の展開が苦労は伝わるが、ちょっと平凡に感じられるのはもったいないかも。

 

島のエアライン 上

島のエアライン 上