「読書感想」【彼方の友へ】伊吹 有喜著 書評
戦中の若い女性向け雑誌の編集見習いとして、勤めることになる佐倉波津子。
あこがれの雑誌であった「乙女の友」の編集者として、また執筆者として、主筆をはじめとする周囲の人の力を得ながら成長していく。
戦中、戦後を通して、雑誌作りという場面を通して、国民生活のうるおいが無くなっていく様を描きながら、当時の時代背景を伝える。
また、登場人物達がそれぞれ良い意味でも好かれない人物としても魅力的に活躍している。
著者らしい、人間の機微に触れる物語であり、じんわりとしみていく良い作品である。
「読書感想」【月夜の散歩】角田光代著 書評
いつものように笑える内容が多いわけではないが、どれも著者らしいエッセイ。
小説も好きだけど、角田さんの描くエッセイが好き。
特に、マラソンや旅行の話が好きなんだけど、今回はこの分野は薄いのが残念。
「読書感想」【覆面作家】大沢在昌著 書評
それなりに売れている男性作家の周辺事物に起こるちょっと不思議な話の真実に迫るミステリー短編集。
最近の大沢作品は、ダラダラして、ハードボイルドも古臭いけど、この位の短編集だと余計な描写がないから、すっきり纏まっている。
かえって短編中心に描いたほうが良い作家かも。
ただしょうがないのだけど、読んだことある作品も混じっていたのは残念。