「読書感想」【国会議員基礎テスト】黒野伸一著 書評
栃木県の3代目として国会議員になった黒部優太郎。
ボンとよばれ、部会や委員会をざぼり、いつも父親の代から秘書である橋本がしりぬぐいをしていた。
そんな官僚出身の橋本は、国会議員も一定の学力があるものが就任するべきとの考えから、自分の使える黒部優太郎をTVの生放送で学力不足を露呈させ、自分が議員となって国を変えていくことにまい進する。
そんな橋本も、議員になったものの、古い政党体質から、次第に疎んじられるようになる。
著者らしい作風で、ラストに向けて希望が持てる展開は読んでいて楽しい政治エンタメ。
登場人物達の苦悩する姿が、物語として読み応えを与える。
登場人物達がやや小ぶりで、スケールの大きさの割に、物語自体は小さくまとまってしまっているが、それでも政治としての基礎的な問題提起を踏まえながら、うまいエンタメに仕上がっている。