「読書感想」【球界消滅】 本城 雅人著 - 野球小説の第一人者が描く日本球界の消滅
日本のプロ野球12球団が4球団に統合されて、メジャーリーグに組み込まれる計画がすすむ。
人気がなくなった日本の野球をメジャーとして生き返らせるというコンセプトに関わる人物達の必ずしも野球を思うだけではない心情、選手たちの葛藤、ファンの移ろいやすい心などどれもうまく描かれていて、物語に厚みを持たせる。
野球を取り巻く環境のディテールも素晴らしい。
アメリカ帰りでデータを駆使する副GMだけでなく、新聞社勤務の計画立案実行者、選手、既存のオーナーなど登場人物それぞれが脇役ではなく、場面場面で物語の中心として輝く。
野球をベースにした小説では他の追随を一切ゆるさない本城雅人氏だけど、この本も面白かった。
ラストも期待を持たせて終わり悪くない。
メジャーの主に金銭面の内情も良く分かる。
ボリュームあるが一切ダレずに最後まで読ませる作品。