「読書感想」【拳の先】 角田 光代著
ボクシングに関わる人達の人生を描く。
角田光代は本当にこのような日常を切り取る人間の葛藤や模索を描くのが上手い。
物語としては物足りないと感じる人も多いかもしれないが、登場人物達の地に足付いた感の表現力、人々の日常は必ずしも思う通り行くものではないがそれでもみんなそれぞれの今の先を見ている生き方を描く筆力はただものではない。
チャンピオンに手が届きかけるボクサー、今はジムを離れた男、ジムに通う太った子供とその両親、その他登場人物達それぞれが重要な役割を果たしている。
題材がボクシングととっつきにくいので好き嫌いは分かれるだろうけど、構成、人物描写など十分満足できる内容。