「読書感想」【R帝国】中村文則著 書評
近未来のR帝国が、隣国と戦争を始める。
国を動かす独占的な力を持つ「党」と、それを無条件に信じる国民。
盲目的な国民と、ネットでのみ大きな態度を取る愛国者、難民・民族差別を行う国民、貧困層でありながら自分より悲惨な人達がいるので満足している人々など、現在の独裁国家や、危険な右寄り国家などの現状を思わせる世界を描くのは著者らしい設定。
全体主義への恐怖を、わりと現在の実在の世界に近い内容で描いているので、とっつきやすいが、展開自体は特に目新しさはないので新鮮さはもうひとつ。
それでも、教団Xを面白く読める人なら、この物語も楽しめると思う。
もう少しラストにかけて、希望を入れたほうがすっきりするけど。