伊豆韮山の代官「江川太郎左衛門英龍」の生涯を描く。
貧困にあえぐ韮山の代官でありながら、国の将来のため、自費で蘭学、西洋砲術を学ぶ。
黒船来航のはるか前から、国の国防について意見を述べるが、保守派の面々の妨害もあり、なかなか活躍できない時代が続くが、晩年には江戸の海防に身を捧げる。
あまり歴史の表舞台で語られることがない主人公だが、幕末の役人としての心意気が伝わり、興味深い人物として丁寧に描かれている。
ペリー来航に対する責任者として、人生の晩年の描き方が駆け足になっているのはもったいない。
そこまでの過程が丁寧に描かれている分、歴史の表舞台での活躍についてももっと描いてほしかった。