【読書感想】 喉の奥なら傷ついてもばれない - 宮木あや子著 歪んだ愛の狂気を描く短編集
普通でない子供時代を過ごした女達が大人になり愛への屈折した行動を起こす。
宮木あや子は女性の描き方が幅広い。
「校閲ガール」のような勢いのある女性から、本作品のようなどこか闇に覆われた女性たちをこれでもかと不快感とともに描く実力。
心の闇や性描写、決して周囲が幸せになるわけではない展開からして、正直読み手は好き嫌い分かれる作品。
多分どの主人公にも感情移入は出来ず、むしろ拒否反応、嫌悪感をいだく場合が多い。
それでも主人公達がどこへ向かうのか気になってページをめくってしまう。
そして愛が深いがために、行動が歪み、狂気の世界へと向かっていく様の描写が独特。
決して読了感が良い作品ではないが、引き込まれざるを得ない筆力が生み出す世界。
昨年初めて知った作家だけど、今後も宮木あや子の作品からは目が離せない。