「読書感想」【騎士団長殺し】第1部 顕れるイデア編 第2部 遷ろうメタファー編 村上春樹著 書評
妻から突然離婚を告げられた、肖像画を専門に描く画家が、小田原の山中の家へ引っ越す事で起こる不思議なことが起こり始める。
本作品は村上春樹らしさの比喩を織り交ぜながら、比較的読者よりの作品になっているので、読みやすい。
著者の作品としては、色々な比喩や暗喩が回収されないまま後は読者の想像に…という展開が多いけど、今回はどれもうまく収束に持って行っているので、結局なんだったんだと思わせる要素が少ない。
個人的には、デビュー当初の初期の作品に衝撃を受けて、その後は割と惰性で読んでいるので世の中のハルキブームの時は、逆に魅力は感じなかったけど、このような読みやすい世界も悪くはないと思う。
イデアやメタファーを重要な要素としながらも、物語自体はそれに依存していないので幅広い層に受け入れられる。